『人が消える』

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しかし、警備を強化されようが、それを嘲笑うかのように人は消える。 二万人ほどいた人口が、いつのまにかその5%ほど失踪していた。 私達は連日、警察やマスコミ、面白半分に茶化しに来た野次馬に話を聞かれ、疲弊していた。 「美雪…」 「なに?むっちゃん…」 「この騒ぎ落ち着いたら、ハワイの別荘に暫く住みましょ…」 「今度は何に影響されたの…」 むっちゃんは、疲れからか別荘、別荘とうわ言のように呟いている。 かく言う私も、こんな生活に辟易としているのだが。 そんなこんなで、また一週間たった頃、むっちゃんが急にこんなことを言い出した。 「そうだわ!探偵を雇いましょう!」 「探偵…?」 「そうよ、ミステリーものの創作物にはいつも探偵が出てくるじゃない!ここは探偵さんにパーっと解決してもらいましょう!」 「実際は浮気調査ばかりだと思うけど…でも探偵に当てはあるの?」 「ふふふ、そう言われると思って私が予め探しておきましたわ!」 「へ、へーソレハキタイモテルナー」 「じゃあその探偵事務所に連絡しておくから、今週の日曜に駅前に集合しましょ」 「え?私も行くの?」 「先生が言ってたでしょ?一人で行動するのは危険だって、それにこーんな可愛い私が攫われたら、官能小説のような展開になってしまうわ」 「なに言ってんの?わかったよ、行けばいいんでしょ」 「そういうことよ」 こうして私達(むっちゃん)は探偵を雇うことにした。 不安しか残らないが。
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