『人が消える』

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私はひったくり犯を警察に突き出した後、コートの男に詰め寄られた。 「おいお前!」 私は、その場の勢いでドロップキックしてしまったが、やっぱり不味かっただろうか。この人も別にひったくりの分け前が欲しくて捕まえたわけじゃないよなぁ。なんて、反省しながら男に謝ることした。 「あの、ごめんなさ「白色のパンツは、ちょっとガキっぽくないか?…ぐはっ」 再びドロップキックした。 「おいおいお嬢ちゃん…いきなりオジサンにドロップキックはないだろ…」 「だ、だっていま!」 「図星だったのか」 ま、待てよ…私…落ち着け…まだ殴るな…。 大体、私のジャージは長ズボンじゃないか…。 見えるはずがない。だったらなんでこの男はパンツを…? 「お、なんで分かったの?って顔してるねえー」 「それは…」 「フッ、心配するなお嬢ちゃん。オジサンは正義の味方!つまりこういう者だからね!」 そう言ってオジサンと名乗る男は名刺を差し出してきた。 名刺には、『追川探偵事務所 女性以外の相談は受け付けません!女性に安心!安全!連絡は追川まで』と書いてあった。 こんな謳い文句なら電柱に貼ってある広告の方が遥かに安心できると思う。 「あの…これって…」 「フッ…オジサンは探偵さ。キミも困ったことがあったらここに連絡してねえー。 あっ、恋の相談でもいいよ!ただし、恋愛相談の場合は、オジサンは探偵じゃなくて、泥棒になっちゃうけどね☆…って、帰るのかーい!」 不審者情報として、明日学校に報告しておこう。 …なんか、忘れてるような。 あっ、むっちゃんのこと忘れてた。 携帯の着信を見ると、むっちゃんからの電話が30件ほど入っていた。
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