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豪勢な門をくぐった先に待っていたのは、
木の生い茂る森だった。
目の前に、三本に道が分かれている。
どこへ行ったら良いのか分からない。
確かに迷路だ。
「…ねぇパパ、マ………っ…」
私の隣にいたのは、パパとママではなかった。
隣にいたのは、双子の着ぐるみだった。
「…だれ?」
「「……………」」
その双子は、なにも答えてくれない。
「あなたはだぁれ?」
「「………………」」
「あなたはだぁれ?」
「「…………………」」
「私はどこへ行ったらいいの?」
その質問に、双子は食いついた。
「アリス、こっちにおいで」
右の着ぐるみが言う。
「アリス、そっちは違うよ。こっちが正解だよ」
左の着ぐるみが言う。
「お前、間違ってる」
と、右の着ぐるみ。
「お前が違う」
と、左の着ぐるみ。
「「こんな時はアリスに相談。アリスはどちらについて行く?」」
「……、そんなの知らない。それに、私はアリスじゃない。」
「アリスこっち」
右の着ぐるみが右腕を引っ張る。
「こっちだよアリス」
左の着ぐるみが左腕を引っ張る。
ぐいぐい。グイグイ。
「い、痛いよ」
思い切り、引っ張られる。
「痛い!腕が千切れる!!」
「アリスの右腕、美味しそう」
「アリスの左腕美味しそう」
そう、双子は言った。
「もうやめてよ!!」
「ア~リス、こっちだよ」
突然、別の声が聞こえた。
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