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「でも、外部の人間が歩いてると、目立ちませんか?」
「それも心配いらない。裏口から入れば人目にもつかないだろう。もちろんここまでの話は、君さえよければ、ということになるが?」
「……大丈夫です。行きます。俺としても、岸上さんからは是非話を聞きたいので」
「そうか。いや、私はその内容について知らされていないのだが……その話というのはいたく君の興味を惹いたようだな。――よろしい。社まで案内しよう。他に質問は?」
「ええと……あっ、そうだ」
これは訊いておかねばならないことだった。
「ところで、神村さんは岸上さんとどういった関係なんですか?」
「……ふむ。どういった関係に見えるだろうか?」
神村は冬吾へ試すような視線を向ける。質問に質問で返さないでほしい。……困る。
「……上司と部下、とか?」
様子を窺うように口に出す。もちろん上司は岸上のほうだ。代理を任されているということや、神村がまだ二十代半ばほどにしか見えないということからも、逆ではあり得ないだろう。
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