第一章――――二つの出会い

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 それから二分ほど歩いて、神村は立ち止まった。裏通りに入ったところの、人通りの少ない……というよりは、殆ど無い場所だ。気のせいか、周囲より気温が下がったように感じる。 「着いたぞ。ここだ」  腕時計を見ながら神村が言う。 「……ここが?」  目の前にあるのは、無骨なビルだった。ざっと見たところで十階くらいの高さがある。ただし、ビルの横幅からして一階あたりの面積はそれほど広くはなさそうだった。一階ごとに三部屋か四部屋というところだろう。  それにしても、普通はビルの入口やその周囲に看板や表札くらい出ているものだが、それらしきものは見当たらない。というより、そもそも入口が見当たらなかった。
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