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緩くウェーブのかかったロングの赤髪に、子猫のような愛くるしい顔立ち。デニムのショートパンツから覗く脚は眩しいばかりに白い。黒いブラウスの上からは、かなり使い込まれた様子のカーキ色のモッズコートを羽織っていた。
ここの社員……のようには見えない。年齢的にも、服装的にも。どちらかというと渋谷あたりにいそうな今どきの女子高生といった感じだ。すると、自分と同じようにたまたま用事があって外部から来た子なのかもしれない。
はて、それにしたって一体どんな用事だというのか。
「……ねぇねぇ」
後ろから脇下のあたりを指でつっつかれる。
「わっ……!」
驚いて冬吾は身じろぐ。
「な、なにを……?」
「よけーなお節介かもしれないんだけど……ボタン、押さないと動かないよ?」
彼女はそう言って扉横のパネルを指差す。
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