第一章――――二つの出会い

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「あ、ああ、ごめん。わかってるよ、もちろん。わかってるとも」  冬吾はどぎまぎしながら七階のボタンを押す。歳の離れた神村と話す時にはまだ平気だったのだが、やはり同世代くらいの――それもこんな美少女が相手となるとどうしても緊張してしまう。 「ええと、君は何階?」 「あ、九階おねがい」  九階のボタンを押す。エレベーターが動き出した。 「お兄さん、ここの人じゃないね? 何の用事?」  彼女は初対面とは思えないほどフレンドリーに話しかけてくる。だがそれを不快には思わなかった。 「人に呼ばれてるんだ」 「なんて人? あたし知ってるかも」 「岸上って人なんだけど」 「岸上……岸上なにさん? ……あ、七階ってことは豪斗おじさんか」 「そうだけど、知ってるのか?」 「うん。名前はいかついけど、優しいおじさんだよね」 「そうなのか。俺はまだ会ったことないからわからないんだけど」 「ふーん……」 「そう言う君はいったい――」  と、そこでエレベーターが停止して扉が開く。七階に到着したようだった。
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