389人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
「――ああ。……ああ。予定通りだ。そちらの指示通りにやっている」
――暗闇。電灯もつけていない真っ暗な部屋の中で、小さく、話す声がしていた。誰かに聞かれぬよう、隠れ、潜むかのように。
その声は、電話をしているようだった。
『機器の回収は?』
「すべて滞りなく。処分した」
『ご苦労。では、次の指示を待て。その間、再度プランの確認をしておくように』
「了解。ところで……その男、本当に大丈夫なのか?」
『貴様が心配することではない。私の言うとおりに動くことだけを考えていろ。まだ、死にたくないのであればな』
「…………」
『安心しろ。貴様を失うのはこちらとしても都合が悪い。約束しよう……私の言うとおりに動けば、助けてやる』
電話の声は、一呼吸置いてから続けた。
『――かの男には、生贄になってもらう』
「……計画のことなら、理解している」
『ならばわかるな? 私自ら協力してやっているんだ。そのことを忘れるなよ』
「ああ……頼りにしている」
『よろしい。ではな……期待しているぞ』
電話は切られた。
最初のコメントを投稿しよう!