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十月半ばとなり、紅葉を纏い始めた街路樹の並ぶ道を、冬吾は電話をしながら歩いている。
「――わかったよ。帰りに食パン買ってくりゃあいいんだな?」
『うん、ちょうど切らしてたからお願いね。……お兄ちゃん、今、外にいるの?』
「ああ。今日はちょっと人と待ち合わせがあってな。学校はさぼ……休んだ」
『そうだったの? 帰りにパン屋さんの前通らないんだったら、無理に買ってこなくてもいいけど』
家から冬吾の通う大学への道筋に、評判のいいパン屋があるのだ。食パンはいつもそこで買うようにしている。
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