第一章――――二つの出会い

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「いや、いいよ。時間あるし、寄って帰る」 『そう? それじゃ、やっぱりお願い』 「おう。そろそろ待ち合わせ場所に着くから切るぞ。お前ももう休み時間終わるだろ」 『あ、はーい。じゃあね』 「授業中に居眠りすんなよ」 『もー、お兄ちゃんと一緒にしないでよねー』  冬吾は笑って、最後に「じゃあな」とだけ言って電話を切る。  ここらはいわゆるビジネス街と呼ばれるような区域で、周囲にはビルが数多く立ち並んでいる。そのため昼休みや終業後のサラリーマンやOLを対象とする飲食店も多くあった。やがて冬吾は、その中のある喫茶店へと入っていった。
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