第一章――――二つの出会い

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「待ち合わせ、ここで合ってるよな……?」  冬吾は店内を見渡す。カウンター席とテーブル席に分かれており、平日の、それも、昼食を摂るにはやや遅い時間であるせいもあってか、客はまばらだった。カウンター席に老人が一人、立ち並ぶテーブル席の手前側には買い物帰りらしい二人の親子連れ、奥側の方には若い女性が一人で座っていた。冬吾の目当ての人物は見当たらなかった。 「まだ来てない、か」  とりあえず、適当な席に座って待っておくか。そう思った矢先、 「ああ、こっちだ」  店の奥、角となった席に一人座っていた女性が手を上げ、誰かを呼んだ。
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