第1章

3/6
前へ
/6ページ
次へ
「なぎさくん…おはよう。 あ、これ…使って?」 急に名前を呼ばれびくりと肩が上がる。 振り返るとハンカチを恥ずかしそうに 僕に差し出す同じクラスの 東堂 由香里がいた。 クラスでも僕みたいに地味で目立たない子だ そんなに仲良くした事は無く話すのも初めてに等しい位だ。 「あ、ありがとうございます…」 「なぎさくん、あの、大変だね…」 「え?、あ、うん…」 会話は、続かなく僕は貸してもらった ハンカチを握りしめていた。 「あ、あのさぁ…」 由香里ちゃんが言いづらそうに僕に 語りかける。 「え、なに?」 「あの、あたしなぎさくん助けたくて でもっ…。あの、あたし…」 顔を真っ赤にして恥ずかしそうに 目をそらす。 「別に、大丈夫ですから」 僕は素っ気なく、返事を返し前を向き 歩いた。 女の子に助けなんか求めたくない。 そもそも、全く知らなかった僕を 助けたいなんてなんかおかしい。 彼女はずっと僕の背中を見つめている 気がした。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加