重荷にならない女

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“藤次郎さん紹介してよ” “今度合コンしよ!!” 藤次郎とご近所さんだというだけで、昔から羨ましがられた。 一回り近く年が離れてるのに、紹介なんてあったもんじゃないと、その度あたしは悪態をついていた。 相手になんてされるわけがない。 実際、藤次郎の隣には綺麗でスタイル抜群の女性がいた。ハッキリとは覚えていないけれど、大人の色気っていうのを全身に纏った人だった。 藤次郎に恋愛感情を抱いていたわけじゃないけど、それでも羨望の眼差しを浴びるのは嫌いじゃなかった。 それも、あたしが高校を卒業するまでのことだったけれど。 というか、ある事がきっかけで、卒業する前に藤次郎とは距離を置くことになった。 お隣だけど、ほとんど会うことはなくなった。 そして大学へと進学したあたしは、一人暮らしをするために実家を離れた。それは完全に、藤次郎と離れるということ。 その後もそれなりに大人の男性と付き合った。 休みの日にはドライブに連れて行ってくれたり、誕生日や記念日にはサプライズをしてくれたり、豪華なレストランに連れて行ってくれたり。 それでもやっぱり、藤次郎を超える人はいなかった。 あたしの不幸は、お父さんとお兄ちゃんを除く一番近くにいた男の人が格好よすぎたことだと、お母さんに再三言われた。
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