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「由宇さ…」
「ん?」
「俺に抱かれてるとき、何考えてる?」
「…は?」
「前から思ってたけど、上の空じゃね?」
まさかぁ、なんて空笑いを飛ばしてみるけど、無駄。
誤魔化せない。
「他のヤローのこと考えてたりするわけ?」
「っなわけないじゃん…!他の男って誰よ…大体」
「それ、俺が訊いてんだけど」
誰?あたし、誰のこと考えてるの?
そもそも、彼氏に抱かれてるときに、他のこと考えてるの?
「前から思ってたけど…お前さ、理想高すぎ」
その後、守銭奴だの結局お前は頭と顔が良い男が好きだの、彼氏を何だと思ってるんだ、だの。
お前が悪い、と言わんばかりの罵詈雑言。
不思議と涙は出なかった。
悪いのはあたしだというのは、まさにその通りで。
自分のレベルも考えず、理想ばかりが高くなっているのは認めている。
格好良くて頭が良くて、お金も持っている。
そんな人、一人ぐらいしか思い当たらない。
そうか。あたしは、ズレてるんだ。
一番近くにいた男の人が完璧すぎて、感覚がおかしくなっちゃったんだ。
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