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「××××になってくれる」
揚羽は笑った。話したことないいけれど、偶然、名前を知ったけれど、きっと彼なら自分の、
「どうしたら叱ってくれるかな。やっぱり真朱さんや、白髪の子達を蝶にしたらきっと怒ってくれるかな。あの人ならきっと私の××××になってくれる」
ギュッと子供らしい無邪気な笑顔を浮かべて赤羽揚羽は言った。
「待っててね。山都お兄ちゃん」
翌日、午前、十時頃、真朱の家に裕樹、田奈、揚羽の三人が居た。集まった理由は作文を書くことだが、ほとんどおしゃべりばかりだ。親のいない家に小学生、四人が集まれば騒ぐなというほうが無理だろう。
「真朱って友達いたのね。いつも家にいるからいないと思ってたわ」
と鏡子は鏡の世界から外を覗き込みつつ言った。堺鏡子は鏡の世界に詰め込まれた死者達の怨念だ。その力を使うことで、鏡と現実の堺を飛び越えて、出入りすることできる。
「貴女、ヒドいことを彼女だって友達くらい」
「そういう意味じゃないわよ。だってあの子って、私達みたいな存在を知っているのよね。親だって食い殺されてる」
「それは同級生には混乱を避ける為に親は出張中だと言われてると」
「親がいる、いないじゃなくて私はあの子がああして『普通に生活している』ことが気持ち悪いって言ってるのよ」
気持ち悪いと鏡子は言う。
「私達とあの子達とは存在が違う。私達は偶然、世界の片隅に生まれた異物なのよ。あの子のことを悪く言いたくはないけど、普通に学校に通ってるだけでもおかしい、さらに自分の住んでる家に赤の他人を連れ込むなんて、秘密を暴露するようなものじゃない」
私だったら絶対にできない。だから、真朱が気持ち悪いと彼女は言う。もちろん、陰火や鏡子には隠れるように言ってあるし、なるべく隠すようにはしているが、
「いつかおかしくなるわよ。あの子。私やあんたみいにね」
化けるわ。ベリベリと皮を剥いで、醜い化け物の本性をさらけ出すようにねと言った。鬼となった陰火、鏡に閉じこめられ、縛られる鏡子、人知れず生きている彼女達は世間に出れば、立派な化け物だ。
「だとしてもですよ」
陰火は言う。
「彼女が間違った道に進むようだったら私達で正せばいいんじゃないですか? 山都大聖が私達にしてくれたようにね」
「ずいぶんと山都のことを信頼しているようだけれど、彼が居たからって絶対に大丈夫なんて保証はないでしょ?」
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