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ワシャワシャと頭を撫でた。えっと呆ける裕樹に少年はニィと笑いながら。
「女の子を守ろうとする、お前はすっげーかっこよかったぞ。真朱の友達なんだな」
でも、
「ここは危ないからちょっと眠ってな」
目が覚めた頃には、終わってるからなと少年が言った頃には天井から降ってきた、蛇達が裕樹と田奈の首をに巻きつくとチクリと噛んだ。
「ナイス、日傘。こいつらのこと頼むよ」
ぐったりと寝転がる二人を廊下に横たえながら物陰から、コッソリと覗く日傘に任せた。
「うん、了解」
「おう」
と片手を振り上げながら廊下を歩く、全身、血塗れだった。一晩中、ずっと血の蝶と戦い続けて、その匂いを辿って来てみれば真朱の家にたどり着ついた。
見知らぬ男からも血の蝶と同じ匂いがしていたが、彼ではない。
(やっぱり日傘の奴に確認しておけばよかったか? 陰火や鏡子はどこだ?)
屋敷中に広がる、血の匂いに山都は嫌な予感がした。何かが起こっている。
「チッ、あいつらがいるから大丈夫だと思っていたが、出し抜かれたか!?」
山都は屋敷の中を走り出した。陰火や鏡子は心配していないが、真朱が心配だった。
その頃、真朱は両手を前に突き出していた。数百の蝶達がぶつかっては血の塊になっていく。
結界。鏡子との事件の際に掘り起こした、才能の片鱗を伊織や鏡子の指導のもとコッソリと鍛えていた。戦闘は無理でも護身はできるように、真朱が狙われることがあったさい、護身術が必要だと伊織の提案だった。
「うっとうしいな。ただの子供じゃないと思ってたけど、フーン。結界ね」
揚羽はガリッと自分の爪を剥いで、そこからあふれ出す、血をギュウと握りしめた。
「けど、まだまだ初心者って感じ、力の使い方がバカ正直だね。こういう結界は──」
ギュウと握りしめた手を開き、真っ赤な蝶を手に乗せて投げつけた。
「強引にでも押し破れる」
ガリッと両手でかざした、結界に亀裂が入っていく。
「ほらほら、まだまだ、行くよ。あと何発、耐えられるかな」
剥いだ爪の指先から絶え間なく、血が溢れ出していく。揚羽はそれを片手で握りしめて、大きな蝶を作り上げると連続で投げつける。不可視の結界が真っ赤な血に染まっていく。
「あと一発ってところでしょ」
じりじりと亀裂から赤色の蝶が真朱を殺そうと侵入してくる。ギュと眉を寄せて力を込めるが続けて投げつけられる塊が亀裂を広げていく。
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