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のはいいけど、みんなの迷惑も考えるようにね」
はーいと返事をする、二人を横目に見ながらもう一人の班の女の子に話しかけた。
「大丈夫ですか? 赤羽さん、来週まで書けばいいですけど」
真朱と裕樹、田奈にもう一人の四人の班ごとに、発表する予定なのだ。
「あ、うん。大丈夫、もう少しで書けそうだから」
と答える少女は作文用紙で顔を隠しながら答えた。名前は赤羽揚羽、クラスの中ではおとなしく、いつも本を読んでいる女の子だ。
「えーそうなの? 私もあとちょっとなんだけど、明日は休日だし、みんなで集まらない?」
田奈が提案し、裕樹がヘッと鼻を鳴らす、
「集まるってどこにするんだよ。明日は父さん、家にいるぞ。あんまり騒ぐとうるさいし、田奈の家は汚くて行けないだろ」
「アタシの家は汚くないわよ。まぁ、この人数は無理よね。裕樹に来てほしくないし」
なんだけどと睨みつける、裕樹にフンッと田奈がそっぽ向く。また、喧嘩になってはたまらないと真朱は、揚羽に聞いてみた。
「赤羽さんは家に遊びに行っても大丈夫ですか?」
「わ、私の家はお父さんもいるから、騒ぐと怒られちゃう」
赤羽がダメになり、残るは真朱だけだったが、彼女も彼女でマズい、家には山都や他の居候連中がいる。
「んじゃ、真朱の家だろ。でっかいし、ちょっとぐらい騒いでも怒られないよな?」
「え?」
「そうね。真朱さんの家ならいいわよね」
裕樹が言い、田奈が賛成して、揚羽もコクコクと頷いた。
「それに真朱さんの両親って、仕事で出張してるんでしょ?」
大丈夫だよねと集まる視線に、無理と断れる雰囲気じゃなかった。
(ど、どうしよう)
真朱が呟いたころ、
山都と居候連中は、自転車に乗る練習をしていた。
「ぜっ、絶対に離してはいけませんよ。山都大聖。離したら怒りますからね」
「わかってるから、前を向けよ。ハンドルは軽く握ってな?」
おっかなびっくりな陰火の乗る自転車の荷台を持って支えながら山都は少しずつ進んでいく。う、うんと頷きつつ、陰火がグイグイとペダルを漕ぐ。
「自転車にしろ、何にをするにしろ。口で言うより慣れだ。頭で考えるからわからなくなる」
「わかっていますけど、怖いんですよ」
「お前、食人鬼だろ。自転車くらい簡単に乗れるようになれよ」
「仕方ないでしょう。この身体になってから身体能力も子供と同じくらいになったんですから」
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