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仕方ないことだ。堺鏡子は、真朱の親が掛け軸に閉じこめられていた化け物に食い殺されていたことを、もともとお嬢様育ちで他人を考慮することを知らない彼女の図々しさも原因かもしれないけど、陰火がバカと頭を抱えたが、むしろ、鏡子の態度が真朱の悩みを吹っ切らせたようだった。
「実は明日、私の友達がくるんです」
「へ? 友達?」「なによ、授業参観のことで悩んでるんじゃなかったの?」
「別に学校行事に親が来てくれないのはいつものことですよ」
真朱が普段と変わらない口調で答えたことに二人はばつの悪い気分になった。
「だから、二人に相談があるんです。明日だけ留守にしててくれませんか?」
一方、山都と伊織は動物の死骸を見下ろしていた。いや、見ていたのはそこから溢れ出す、赤色の蝶だ。死体を食い破って溢れ出す蝶ははっきり言って異常だ。
「なんだこりゃ、死体から溢れ出す? いや、生まれてるのか?」
「詳しいことは私にもわからないが、この蝶は死んだ動物の死骸から生まれているんだ。芋虫が蝶になるようにね」
「日傘みたいに、身体から蛇を生み出す力なのか?」
「いいや、あれよりも異形だ。この力は死骸に卵」
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