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確かにはしゃぎすぎの感はあるが、うるさいというほど声が大きいわけでもない。
紘斗は美春から再び彼女へと目を移した。
お嬢さま。
美春が云った言葉に保証が一つ増える。
「乾杯やってたし、なんかの祝いだろ。気にするほどじゃない」
美春が驚いたように紘斗を見返した。
「吉川くんはああいうの嫌いかと思ってた」
「思いこみだな」
同期とはいえ、美春と親しかったわけではない。
二カ月まえにあった営業部の新人歓迎会で、営業部出身という美春も招待され、それから世間一般でいうデートをする機会が増えた。
専ら積極的なのは美春で、紘斗は流されているにすぎない。
こっちから誘うことはなく、美春もそこはわきまえているだろう。
紘斗が肩をすくめたそのとき、携帯電話がふるえだした。
開くと、営業部からの発信だ。
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