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「会社からだ」
美春に断りを入れ、紘斗は席を立って化粧室のほうへと向かった。
男性専用のドアのところで通話ボタンを押した。
新人からの電話で、ロンドンからの問い合わせに答えられないでいると云う。
「急ぎか?」
『手続き上、一時間内に返事が欲しいそうです』
夕食を取るのに出てきただけで、このあとまた会社に戻ることになっているが、ゆっくりもしていられないようだ。
「わかった。向こうには返事を間に合わせると伝えてくれ。……いや、課長にはおれから連絡する」
紘斗が話している途中、当然ながら予告なく彼女が化粧室のスペースに入ってきた。
彼女は女性専用の化粧室に入るわけでもなく、何かを待つようにドアのまえに立っている。
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