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「貴刀って……?」
それほど驚くことかと疑問を持つほど、姫良はびっくりした目を紘斗に向けた。
「ここのすぐさきにある。二十歳なら貴刀くらい知ってるだろ」
姫良の目がさらに見開く。
「わたし、二十歳って云った?」
「云った」
迂闊だったと紘斗はとっさに押しきる。
いや、隠す必要があるのか?
ふと、自分に問いかけてみたものの、結局はそのままにした。
姫良は首をかしげながらも追求はしてこない。
それよりも名刺のほうが気になるようで、また手もとに目をおろした。
「名前、これなんて読むの?」
「……ヨシカワ、ヒロト」
「ひろと!」
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