第8話 繰る糸-贈り物-

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「貴刀って……?」 それほど驚くことかと疑問を持つほど、姫良はびっくりした目を紘斗に向けた。 「ここのすぐさきにある。二十歳なら貴刀くらい知ってるだろ」 姫良の目がさらに見開く。 「わたし、二十歳って云った?」 「云った」 迂闊だったと紘斗はとっさに押しきる。 いや、隠す必要があるのか? ふと、自分に問いかけてみたものの、結局はそのままにした。 姫良は首をかしげながらも追求はしてこない。 それよりも名刺のほうが気になるようで、また手もとに目をおろした。 「名前、これなんて読むの?」 「……ヨシカワ、ヒロト」 「ひろと!」
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