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 咆哮をあげると同時に彼の皮膚は変化していき、黄色い殻の様に変化していく。この数秒間に彼が辿り着いた答えは強行突破であった。下手に戦闘するよりも体力の消費は少なくて済むし、彼の殻は硬くある程度の攻撃なら無傷となる。それに、仮にダメージを負ったとしても目的地が故に問題にならない。 「オラァ!!」 彼は地面を抉り竹を折りながらまっすぐ突き進んで行く。ただまっすぐしか進んでいない為、妖怪からすれば格好の的である。故に妖怪達は爪を突き立て彼に対して飛びかかった。だが、妖怪の爪は彼を覆う甲殻に弾かれる。彼は妖怪など気にせずそのまま走り去る。 ――――――――― 「…………?」  永遠亭の縁側を歩いていた永琳は遠くの方から聞こえてきた音に違和感を抱き足を止めた。何かが破裂するような音を耳にし首を傾げる。更にその音はどんどんこちらに近付いている気がする。 (何の音かし……) 考えるよりも先に答えが向こうからやって来た。竹をへし折りながら轟竜とも言える恐竜が永遠亭の庭に飛び込んで来たのだ。 「……貴方、まともな登場の仕方は出来ないのかしら?」 「この話が始まった時はマトモだったさ」 「貴方が此処に現れる時の事を言っているのよ。貴方は何時もそうやって暴れながら来るじゃない」 「っても俺が永遠亭に来る描写があるのは前作含めて二回目だろ。いつもじゃねぇ」 そういいながら、彼は元の天狗の姿へと戻る。 「一回目もそうだったからいつもなのよ。にしても久しぶりね、天狗Z」 先ほどまでの鬱陶しいそうな表情から一変しにこやかに天狗Zを迎える永琳。 「それともこう呼んだ方がいいかしら?ゼットン」 「ははは……」 ゼットンと呼ばれた彼は特に訂正もせず力無く笑いながら縁側に腰掛ける。 「そう呼んでくれた奴も居なくなっちまったからなぁ……」 「そうね……」 呟く様に言いながら永琳は天狗Zの横に腰掛ける。微妙にしんみりとした空気が二人を包む。
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