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山の再建の際にこれかは下からの意見も取り入れようと言う訳で新たな部署が設立された。そこの部署長として配属されたのが天狗Zである。庶民あがりの彼になら下の者も意見が言いやすいだろうと言う配慮からなのだが、実態は上と下からの板挟みに合う酷い部署であった。他の部署は下からの声を自分達の管轄外だと天狗Z達に押し付けてくるし、上も上でその状況に打開策を講じようともしない。(他の事で手一杯だと言うのもあるのだが、手を煩わせているその政策が果たして必要かどうかは疑問である)しかし、庶民は自分達の声が届くと信じて天狗Z達に意見を出している。結果的に天狗Zは立場こそ上に上がったが仕事量も比例して上がったのである。それこそ殆ど休みが無くなるくらいに。
「で、なんでんな事を訊ねたんだ?」
「アインさんならまず始めにそう訊くと思ったんで」
「なるほどなぁ……」
「でも本当ならもっと別の事を訊くと思うんですが……その……」
少し鈴仙は口ごもる。アインならば訊ねたであろう事を頭に思い浮かべては恥ずかしさから頬を少しばかり赤くしていた。その様子を見た天狗Zも悟ったのか苦笑いを浮かべた。
「ま、訊くのは恥ずかしいわな。というか彼女がおかしいんだよ。普通はそんなの面と向かって訊ねられねぇよ。酒でも入ってんなら別だが」
「ですよね」
鈴仙は軽く微笑む。その姿を見た天狗Zは彼女が至る所で人気な理由が何となく解った気がした。
「……で、結局の所天狗さんは最近どうなんですか?」
「お前も訊くのかよ!?」
「え、だって、いや、その……気になるじゃありませんか。お二人の……その、ねぇ」
「口に出来ねぇなら訊くんじゃねぇよ」
軽く呆れながら天狗Zはお茶を口に含む。
「椛さんとのセックスは気持ち良かったですか?」
その瞬間、鈴仙の口から爆弾が放り込まれた。天狗Zが噎せたのは言うまでもない。
「ゲホッゲホッ!!いきなり何を!?」
「え、だって天狗Zさんが言えって」
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