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「蘇芳。」
「…………なんでしょう。」
書類をバサッとディスクに置き、タメ息をつきながら俺に近付いてきた社長は、何を思ったか、俺の腰に腕を回し右手を自分の左手で握ってきた。
「社員の前や、仕事の関係者といる時にはその緊張感を保てばいい。………だが、俺と2人っきりの時はいくら仕事中でも、気を張るな。」
「ーーーーーーーーはい?」
何言ってんだ、この人。
社長と2人の時は気を張るな?
俺の仕事に対する姿勢、バカにしてるのか?
「私はロボットのような完璧さを求めてるんじゃない。蘇芳の人間性を気に入っている。考え方、周囲への気配り、先回りする迅速な対応………、しかし私しかいない時は、他の時にそのスキルを発揮できる様、精神を休める癖をつけろ。」
「…………………。」
すみませんが、社長。
それ。
非常に、難しいことです。
だって、貴方は、上司ですから。
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