ワンR

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「社長…………。」 「ん?どうした。蘇芳(すおう)。」 たった今、社長宛にきたメールを読んで、俺は盛大なため息をついた。 何で、この人は、恋人に俺の会社用のメルアドを教えるんだ。 「社長の色恋沙汰に口を出すつもりはありませんが…………、少しお遊びが過ぎませんか。」 そう言いながら、自分のノートパソコンを持って社長に近づき、ズイッと、その顔面に突き出す。 「………………ほー、昨日のことだね。これは。」 表情ひとつ変えずに、画面を眺める社長。 そこには、服を着たままの社長に若い少年(と、いっても二十歳は過ぎているだろうが)が裸で抱き着いている写真が、デカデカと画面いっぱいに出ている。 その下には、『この写真をバラまかれたくなかったら、別れるなんて言わないで!』の文字。 …………この人、どんな酷い別れ方したんだろう。 ずり下がりそうになるメガネをあげながら、社長がなんて言うか、じっと待った。
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