ワンR

3/6
前へ
/16ページ
次へ
「まあ、こういう積極性な所を気に入ってたのになあ。こんな事をして引き止められるとでも思ったのか………。 脅迫だよな?これ。」 しれっと聞いてくる社長に、頭痛がする。わざとだ。この人。絶対わざとだよ。相手がこうやって出るの分かってやったよ。もう、絶対自分に近付かせないつもりだ。 「うんうん。脅迫だな~。」と頷いている社長を尻目に、先ほどのメールを社長のパソコンに転送して、自分のは消去した。 この人、仕事は出来るのに、何でプライベートはアホなんだ。 「御自分の不始末は、ご自身でどうぞ何とかして下さいね。そして、次は、もっと落ち着いた方をお選び下さい。」 男だろうと女だろうと、気に入った人物なら誰でも受け入れるんだから、ほんとタチが悪い。 「落ち着いたやつねえ…………、ああ、今、凄い名案が浮かんだ。」 「それ、名案では無いですよね。絶対。」 社長が名案だと叫ぶのは、仕事以外ではロクな事ではない。 「いやいや、名案だよ?」 俺を見て、にっこり微笑まれる社長。 俺には、悪魔の微笑みにしか見えません。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加