第1章

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掴みかかった記憶まではあったが、その後の記憶が無い。 おそらくは関か太田に締め落とされたのだろう。 携帯を見る。二時間は気を失っていたようだ。 気がつかない学校側も責任はあると思うのだが、事実倒れていたという現状があるのだから頼りにしてはいられない。 さっきの件を思い出すや否や妹の和美の教室へと向かった。 今は授業中のはずだ。下駄箱を見ると靴がない。 一年四組で靴が無いのは和美と他一名。 私は駆け足で階段を上がり、教室を覗き込む。和美の席にその姿はない。 靴がない、つまり校内にはいない。やられたーーおそらく、連れ回されている。 角田は先生受けがいいので、きっと上手く早退したのだ。 角田達がたむろする場所は、ゲーセンかカラオケ。 だが、この時間は制服だと若干目立つ。 まして和美が一緒ならば、角田は人目を避けるはずだ。 となると可能性が高いのは角田の母親のアパートかお店だろう。 ??皆でシェアしましょうよ。 嫌なビジョンが目に浮かんでくる。自転車置き場まで走り、第四学区方面へ向かった。 角田はおそらくインターネットの時代をなめていた。 私は角田の家の住所を調べ上げていた。 巨大掲示番で噂する人間が出るほどの、異様な生活スタイル。 角田一家は、ネットの一部では有名人なのだ。 その自己顕示欲が、自らの情報を周囲に漏らすように自身に促すのだろう。特徴をまとめると、 ・角田一家は母子家庭。フラットメロディ一0五号室に住む。 ・角田一家は、家出少年少女をフラットメロディで匿い、角田家の母親(翔子)のスナックで働かせているらしい。 ・角田一家は、周囲の住人と揉めているらしい。 ・角田一家の家には警察が何度も来ていて、警察が何か説得したら帰る、ということが幾度かあったらしい。
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