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「けれド、邪魔が入っちゃア…面白くないもんネ」
ピエロの不満が混じった呟きと同時に、ぶわっ…と、見えない、が、真っ黒であろう不気味で不思議な力のような、何かがピエロの全身に迸った。
それを合図にしたかのように、真っ暗な空間の上部…ピエロの上方数メートルに、ぴきり、ぴきりと亀裂が走り…
パキンと、あっけなく真っ暗な空間は崩壊し、どこまでも続く真っ白な世界に上書きされた。
「あーア、ワタシの空間を遠慮なくぶっ壊しちゃっテ…マッ、ボクが存在するだけで生まれる空間だかラ、痛くも痒くもないのだけれド」
ふわり、と頭上からこちらを睨み付け、徐々に近づいてくる二つの影に、馬鹿にするかのような笑みを向け、苛立たしげに腕を組んだ。
「だけどネ、この怖気の走るおぞましい世界に放り込まれるのハ、とっても不愉快だヨ」
「それは、貴方…いえ、貴様が卑しくも浅ましい、悪しき存在だからでしょう」
「あっハ、相変わらずワタシを喜ばせてくれるんだねルーク、けれド…残念、ボクはもウ、心に決めた子が居るんダ」
真っ白な翼を生やし、ピエロとは違い、本物を感じさせる高貴なオーラに身を包んだ男の罵倒に毛ほども反応せず、ピエロは見当はずれなことをのたまった。
「ははは、そうですか、それは結構、大いに結構、ですが…やってくれましたねこの糞野郎」
ピエロの態度が癪に障ったのか、はたまたピエロが嫌いだからなのか、高貴な男…ルークは、額に青筋が浮かび上がるほどの怒気を込めながらも、静かに言葉を発した。
「うフ、そうだネ、少し前にギタギタにされた恨みを晴らしてやったんだけド…気に入ってくれるかナ?」
「自業自得を棚に上げてよくもぬけぬけと…!!」
「あっハ!そんなこと言っテ、君はそのお陰デ…いヤ?それを利用しテ、かナ?その隣に居る子をスカウトしたじゃないカ」
ピエロの言葉に、ルークの後ろに控えるようにしてたたずんでいたローブ姿の何者かがピクリ、と反応する。
「ワタシを利用すル、なんテ、ムカついたけれド…あれだけニヤニヤしながらも汚い事はやりたがらなかっタ、大いなる世界最高神ルーク様ガ、ボクみたいな弱小邪神を使ってくれるだなんテ、感激したものだヨ」
「相も変わらずいちいち人を苛立たせるのが得意ですね、神を名乗るな、その汚らしい口を閉じろ、忌々しい…ッ!!」
「あっハ!怒った怒っタ!これだからルークはおもしろいネ!」
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