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予想外だ、とばかりにケラケラとしているピエロ野郎に、俺は冷えた視線を送りつつ嘲る。
事実、馬鹿みたいなことを抜かしやがったしな。
「あっハ!馬鹿とは酷いネ、ボクだって千年に一度くらいは傷つくんだヨ?」
「あ?知るかよ、千年に一度しか傷つかねぇから成長しねぇんだ、一分一秒を精一杯生きてろ屑が」
「うフ…ワタシをここまで馬鹿にしたのハ、アイツくらいだったかナ、あア…久しぶりだヨ、身体を突き抜けるこの快感…あっハ!どうしよウ、ボクは君をとても気に入ってしまっタ」
「は?」
なんだ…こいつ、馬鹿にされてるのに快感?挙句とても気に入った?こいつ、真性のドマゾかよ、救いようがねぇ。
「そうかいそうかい、だったらその気に入られちまった哀れな俺からの頼みだ、さっさと失せろ、お前が現れるまでは上等な温泉に浸かってるような心地良い気分だったんでな、気分を害されてげんなりしてんだよ」
「それは聞けないナァ、言っただろウ?気に入ったっテ」
「気持ちの悪い奴だ、生憎俺はおまえを喜ばせるようなことはできねぇぜ」
「そんな事はどうでもいいサ、ところで、君は好きなメスに意地悪とかしちゃうタイプかイ?」
「…は?」
今度は何だ?どこまでもネジの外れた奴だが、脈絡も無く好きなメスがどうこうだと?わからない、こいつの考えがまったく掴めない、考えることを放棄していて尚、考えさせられざるを得ないほどに、こいつは読めない。
「あっハ、ワタシはネェ…困った事に意地悪をしちゃうんだヨ」
ねっとり…いや、うっとりとした声で、気色の悪いことをのたまうピエロ野郎に、俺は徐々に嫌な予感と怖気を覚えた。
「それもネ…嫌がれば嫌がるほド、戸惑えば戸惑うほド…ボクの心ハ、身体ハ、満たされるんだヨ」
「お前、まさか…!?」
じわり、と嫌な汗が頬を伝う。
「そうだネェ…君は生き返りたくないっテ、言ったネ?」
こ、こいつ!?
「残念!ワタシは意地悪なんダ!飛び切りの蘇えリ…いやそんなんじゃあ詰まんないシ、嫌なことばかりじゃア、君に嫌われるネ…そうダ、君が喜んで嫌がる素敵な新しい人生をプレゼントしよウ!」
子供のようにはしゃぎながら、名案だ!とばかりに両の手を振り上げ小躍りするピエロ野郎に、俺は焦り、殺意を覚えた。
「ふざけるな!お前の好き勝手が許されると思ってんのか!?」
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