夢見草

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*************** あれは、桜の蕾が膨らみ始めた頃から散るまでの間に起きたことだった。 一瞬のようで、俺にはとても濃い日々で、今まで存在した中で、最も輝いた日々だったのは確実だ。 今でも、少し目を閉じただけであの笑顔が浮かんでくる。 桜を見ればさらに濃く。 菫を見れば鮮やかに。 もうあれから、どれだけの時間が経ったかは分からない。 だが、あの日々の記憶は、───────────彼女と過ごした記憶は、今も薄れることは無い。 いいや、今だけじゃない。 きっとこれからも。 ***************
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