23人が本棚に入れています
本棚に追加
思いたったら即行動あるのみ。
枝……じゃねぇな、幹から幹へ飛び移り中腹ぐらいまで来たところで、一旦足を止め振り返った。
視界一杯に広がったのは、俺が歩いて来たはずの街並みなのだが、映ったのは今まで見たことのない、初めて知る景色だった。
澄んだ青い空。
緑の山々が街の後ろに大きく広がっていて、先は見えない。
街は人でごった返していて、こんなに人が居たのかと改めて思う。
ここで初めて気付いた。
この大木は大きな屋敷の中にあったのだと。
そして、俺をじっと見つめる視線向けられていることに。
そんな訳ねぇか。
人間に俺は見えねぇ。
たまに見えるやつが居ると聞くが、そんな奴らは死期が近い奴だ。
今、俺が捉えているのは若い女の人間だ。気のせいだろう。
………その割には目が合うなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!