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大木の下で何故か俺と女が残された。
はぁ、なんだこれ。なんでこの女残ってんだよ。箱入り娘は大人しく戻っとけよ。
じじぃが完全に見えなくなると、女は振り返り俺をじっと見つめる。
「─────貴方、何者なの……?」
真っ直ぐ見据えるその瞳は、純粋で強く逞しく、女には似合わない。
少し面白いと思った。
「────────死神だよ。」
一凪の風が、俺と女の髪を弄ぶ。
風が収まり、女が再び口を開いた。
「私の……私の魂を狩りにきたの?」
「ご生憎様。人間は狩りの対象じゃねぇんでな」
一瞬。
一瞬だったが女は悲しそうな顔をした。
しかしそれはすぐに見えなくなり、女はにっこりと笑った。
「そうなんだ………でも、これも何かの縁かしらね。
一緒にお茶でもどう?」
綺麗に笑った女は、花みたいだと思った。
瞬間的に思いついたが、なんだったかなあの花忘れた。
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