第0章:【美少女男子ミツル君】

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 無表情だから下心はないと思う。  どちらかというと、自分の発言が事実かどうかを確認しようという意気込みに近いのかも。  やられる方はちょっと迷惑だけど、実際にやってはいないからセーフということにしてあげよう。  卵黄でコーティングされたごはんを味わいながら彼を許す。  私は卵かけごはんは醤油で食べる派だけど、塩も塩で良い味を出してるなあ。  御馳走と言われて出された時はどうしようかと思ったけど、その単語を冠するに相応しいのかもしれない。  ああ、こんなに美味しいものを食べていいのかな。 「まったく、もう仕方がないなあ。卵が美味しいからセクハラ発言は大目に見ます」 「当然だ。放し飼いの鶏に産ませた有精卵が不味いわけないだろ」  ああ、そっちに反応しちゃったか。  頭の中は食材でいっぱいなんだなあ御崎君。  と、いうことは私が女子として扱われることはなさそうだなあ。  予想よりも優しい対応をされているから期待しちゃったけど、これはこれで当然の結果だよね。  現実を呑みこんでご飯を掻きこむ。  「あ……そうそう。鳳に言いたいことがあるんだけれど」 「どうしたの?」 「キミがヤンキーに絡まれた場所は夜になると風俗街っぽくなるところだから、不良が多いんだ。僕はここに来るまでの近道で使っているけれど、鳳は女子だから気を付けた方がいい」 「で、でも……御崎君は華奢なのにいいの?」 「僕は怖いから近寄られない。さっきの見たらわかるだろ?」  あのときに居合わせた奴らは新米だね。  泣く子も黙りそうな台詞を談笑する題目として扱う御崎君は、ちょっぴり怖かった。  でも、普通に話してみると悪い子じゃなさそう。  制服と校章の色が同じということは、クラスメイトとして校内で会えるかもしれない。  なんとなく学校に行くことが楽しみになってきた。
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