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「いらっしゃいませ」
「これプレゼントなんですけど…」
「はい、ラッピングは…ピンクのリボンでいいですか?」
「はい、それでお願いします」
黄色とピンクとオレンジが可愛らしい、ハワイアンキルトのタペストリー。 中央にあしらったプルメリアの柄がとてもキュートで、作っていても楽しくて仕方がなかった。
私はこの小さなセレクトショップ、Dolphinで働いている。
初めは趣味で作っていたキルトを、お店に置いてもらっていたんだけど、ありがたいことに品物がよく売れるという事で、お店に常駐してキルトを作製、時々店番もしているというわけ。
まぁ、これだけじゃ生活出来ないので、夜は中華料理店でバイトをしているんだけど。
この日は珍しく、男性がプレゼント用に、私が作ったお気に入りのタペストリーを購入してくれた。
背が高くて、清潔感がある人。
手を顎において、店じゅうゆっくりと品物を見て回ると、キルトのコーナーでタペストリーを手に取った。
その身のこなしがスマートで、なんだか目を奪われてしまった。
一枚一枚手作りなだけに、手元から無くなってしまうのは、少しだけ淋しいけど
、正直とっても嬉しい。
「これって…手作りですか?」
不意にこちらを向いたので、思わず心臓が跳ねた。
「は、はい。手作りなので一点ものになります」
お客様がニコッと微笑んだ。
優しい目をしていて、微笑むと少年っぽい可愛さが垣間見える。
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