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不思議だった。
いつもなら、お断りしているはずなのに、この人があんまり優しく微笑むから、話だけでも聞いてみたいと思ってる自分がいた。
いえ、この人の笑顔を見ていたいのかもしれない。
私達はとりあえず、私が行こうと思っていたカフェに入り、窓際の光が溢れる席に二人して座った。
「これなんだけど…」
彼がテーブルの上に広げたのは、一枚の写真。
リビングのような部屋に、5人の男性がいる。 座っている人もいれば、窓辺にもたれている人もいた。
「…これは…なんですか?」
「PV撮影のセットなんです」
「PV?撮影?なんのことですか?」
頭の中に?マークがいっぱいで、私は顔を上げてその人を見つめた。
「あ、俺そういう仕事してて。それでこんなセットの中に、さっきのハワイアンキルト?入れたら、きっとあったかいような雰囲気が出るんじゃないかなと思ったんだ」
「あぁ…そうですねぇ…」
生返事しか出来なかったけれど、なんとなく、この人が撮影などの仕事をしていることは分かった。
「担当してくれませんか?」
「はい?私ですか?」
その人はニッコリと笑って頷いた。
この笑顔は危険。
でももしかしたら、仕事で飛躍するチャンスになるかもしれない…そんな事が頭の隅を掠めていたのも事実。
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