LUNA―月―

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「期限はいつまでですか?」 「あさって…です」 ムリだ…絶対に… キルトを作るのには、小さくてもせいぜい10日。 大きなものになると、数ヵ月は絶対にかかってしまう。 「すみません…その撮影の為に作製するのには、時間が無さすぎて無理です。全て手縫いなので…」 「…そっか…」 私が断ると、彼までショボンとしてしまって、なんだか可哀想になってしまう。 「…あるもので代用するのでしたら、なんとかなるかも…」 「えっ?ホントですか?」 コロコロと表情を変える人だ。 今度は目を輝かせて見開いている。 まるで少年のように… 「…お店のオーナーに相談してみましょう!お店の倉庫に置いてあるものを使えば、より良いものがご提供出来ると思いますから!」 「それじゃ、OKしてくれるんですね?」 ニコニコしちゃって、可愛いと思ってしまうのは失礼かしら? 「はい。ひとまず。お店に帰ったらオーナーに連絡しておきます。あ…その、お名刺とかは…?」 そう言えば、まだこの人の名前も知らなかった。
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