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プロローグ
異世界・フィンメルシアのとある村にて
緑の草原の真ん中にある小さな村。
家々の間には活気溢れる声が満ち、煙突からは煙が立ち上っている。
村の真ん中には、他の家より一回りほど大きい家がある。
この村の村長である老婆の住む家である。
今日もこの家には、村の子供達が大勢やってくる。
子供A「大ばば様!今日もお話を聞かせて!」
子供B「聞きたい聞きたい!」
村の人々から『大ばば様』と呼ばれ親しまれているその老婆は、毎日家の居間にある大きな暖炉の前で揺り椅子に座りながら、子供達に昔話やお伽話を聞かせていた。
子供達にも分かりやすく、また面白おかしく脚色されたその話を、皆は笑いあいながら聞き入っている間に、いつの間にか夜も近くなり、それぞれの家に戻って夕食を食べて寝る。
そんな何気ない平和な時間が、この村には流れていた。
大ばば「よしよし。今日もお話を聞かせてあげようかねぇ。」
子供C「ねぇねぇ!今日はどんなお話を聞かせてくれるの?」
大ばば「そうだねぇ~。じゃぁ、今日は大ばばの昔話を一つしてあげようか。もう何十年も昔のお話だけどねぇ。」
子供達「やったぁ~!」
大ばば「そうさね、あれは・・・」
大ばば様は、遠い昔の事を話し始める。
かつてこのフィンメルシアに降臨した、一人の男の物語を。
後世の歴史家達をして、『この男は無名でありながらも、世界的にその名を知られる様にまでなるほどの業績を残し、また幾度となく世界の危機をも救った、稀代の英雄である。』と言わしめた、お伽話の様な本当の話。
下手な嘘のような逸話を数多く持つ、世界最強だった伝説の男と、それを取り巻く者達の作り上げた伝説の物語。
大ばば自身も深く関わる事となった、一人の男の伝説。
この物語は、そんな一人の男の生き様を描くお話です。
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