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序章~魔法世界の逸材死す~
“星歴”2013年、欧州のとある国の片隅で、にわかに注目を集める男がいた。
共存は不可能と言われた『龍』と共に暮らす、一人の魔導士。
「よーし、着地だ『リオン』。」
ガウ。と答えて一軒の家の庭へ着地姿勢に入るリオンと呼ばれた赤龍、全長は3mと少し、高さは1メートル弱という所か。
指示を出したのはその首の付け根に跨る青年。
キリッとした表情と赤い双眸、髪の色も赤で眉だけ黒、髪型は少し長めにカットした髪を?き上げている。
目は少し細め、少し小さめの低い鼻、常に余裕を湛えるかのような微笑。顔立ちも整っている、所謂イケメンだ。
格好はカッターシャツの上に茶色いチョッキを羽織り、下は紺のGパン、靴は皮の長靴である。
「ふぅ。リオン、今日もお疲れ様。」
彼がリオンの鼻面を撫でてやると、リオンは気持ちよさげに「ガウウゥゥ~・・・」と鳴いた。
青年が家の玄関をくぐる。
「母さん、ただいま!」
母「おかえりなさい、イザーク。」
「ようフリードリヒ、邪魔してるぜ。」
フリ「ヨハンテメェ・・・」
青年の名はイザーク・バウシルト・フォン・フリードリヒ、年は18。リビングで彼を待っていたヨハン・ハイネブルクは親友であり、家族からはイザークと呼ばれている。
ヨハンも恰好は変わらないが、こちらは水色の瞳&茶髪でショートヘアである。
何より顔立ちがよく似ている為によく兄弟かと聞かれるが、幼馴染なだけである。
フリードリヒの家は没落貴族の家系で、フォンの名はその名残である。
父はその直系でかつて美男子として知られ、母親はある侯爵家の遠縁の娘で、スタイルもいいということもあり、割と羨望の眼で見られる家庭である。
フリ「で?ヨハンは何の用だ?」
ヨハン「いやいや、またリオンを眺めに来たのさ。」
フリ「見世物じゃねぇぞ。」
ヨハン「だけどよ、龍をこんな身近に見られる場所ってそうないぜ?」
フリ「そりゃぁなぁ・・・。」
この世界では龍は忌避されるが、フリードリヒは幼い頃、雪降る夜に幼龍だったリオンを拾い、そのまま家族としてこれまで過ごしてきたため、リオンは人を余り警戒しないし、村の人達もリオンを恐れない。
それ故に近年世間の好奇の眼を集める様になったのだが。
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