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ケリン「うう・・・」ザッ
流石に群れで動く習性のあるモンスターを相手に、力不足は明らか、既に膝を屈していた。
ケリン「うっぐ・・・誰か・・・助けて・・・」
嗚咽を漏らしながら届く筈のない助けを乞うケリン。
分かっていてもなお希望を持ちたかったのだろう。彼女を救う救世主の存在を、信じたかったのだろう。
群れの一頭がケリンににじり寄る。
ケリンは静かに、痛みに耐える為に目を閉じ歯を食いしばる。
その時であった。
「おうとも、助けてやるさ。」
ケリン「・・・え?」
彼女にとっての“救世主”の声がしたのは。
「ッ!?ギャアアオオオオオオオオ!?」ザシュウゥゥッ
天空から舞い降りた人影が、手にした鉄剣で目の前のヴォルフを袈裟斬りにする。
ザザアアァァッ
フリ「一撃で壊れたか、まぁ即席だったしな、次は集中だ。“トレース、オン”。」ギュウゥゥゥゥ・・・ン
バァン、と特徴的な音を立て、彼の魔術、投影が完了する。
何も握られていなかったはずのその両手には、鉄製のショートソードが握られていた。二刀流である。
フリ「大丈夫か?」
ケリン「あ・・・あなたは?」
フリ「話は後だ。立てるか?」
ケリン「足が、片方動かなくて・・・。」
フリ「・・・麻痺か何かか?」
ケリン「雷属性だから、多分・・・・ううっ。」
リオン「おいおい、がらでもねぇのにカッコつけんなよwww」
フリ「」
龍形態から人型に変身しながらリオンが空気ぶち壊しつつ降りて来た。
フリ「おいおい、雰囲気壊すなってのーwww」
リオン「へーへー。で?」
リオンが周囲を睨む。
フリ「あぁ、こいつらを倒せばいいらしい。」
リオン「久々のバトルだな、腕が鳴るぜ。」
フリ「油断するなよ?」
リオン「当然。」
背中合わせに立つ二人、リオンは蒼空の様に透き通った蒼の長剣を握っている。
その容姿は何故かフリードリヒの格好と同じ、カッターシャツに茶色いチョッキ、ズボンは赤色で革靴を履いている。
顔立ちは一見クールに見えるが、余裕の笑みとギラつく赤い瞳とで熱血漢の様な印象を受ける。髪は赤のミディアムエッジで、フリードリヒより顎と鼻の先が尖っているので識別できる。あと眼光の違い、フリードリヒの方が若干弱い。
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