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彼は本当に素敵だった。
あれもこれも、何もかも。
この美味しそうなケーキだって彼が作ってくれたモノ。
……私達、彼女の為に。
「さあ、どうぞ」
ガレッド・デ・ロワ。
本来は陶器人形が入っているそうだけど、今日はその代わりに。
「指輪を引き当てたら、結婚してくれるんですよね?」
向かいの席の彼女が言った。
結婚の二文字に、私を含めた三人がビクリと反応してしまう。
「うん、もちろん」
いつも通りな優しい笑顔で返す彼。
フォークを握る手が小刻みに震えた。
「いただきます」
睨むように互いを見ながら、四人で同時に口に入れる。
広がる甘味を無視して、必死にそれを探した。
「……」
「……」
沈黙に包まれる部屋。
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