第1章

4/10
297人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
お言葉に甘えて絶叫マシーンに乗り込んだ私と加藤様。 「キャーーーー」 大声を出してスッキリした私。かたや全く表情を変えない加藤様。 楽しかったのか、怖かったのか全く判別つかない。 「加藤さん、大丈夫ですか?」 若干顔色が悪いような気がした私がそう声をかけると『最近のマシンは凄いな』と感動しているみたいだった。 「佐久間は絶叫系が好きなのか?」 「そうですね。苦手ではないので好きだと思います」 「あれ?二人夫婦じゃないんだ」 さっきの若いお姉さんが私たちの会話を聞いていたらしくそう聞かれると代わりに相良さんが『日野さんの所の代理人さん』とご丁寧に答えてくれた。 「私にもチャンスあり?」 そう聞かれ何のチャンス?と首を傾げてる間にお姉さんが加藤さんにグイグイと『名前と年齢と職業と好きなタイプ』を聞いていた。 す・・素早い。 「蜂谷さん!」 相良さんがお姉さんの名前を呼ぶと『いい男だったからつい』と舌を出しながら笑った。 すると相良さんの奥さんまで『本当、かっこいいよね』と盛り上がる。 面白くない!加藤様は私の彼氏・・なのに・・・ 加藤様も何も言わず当たり障りない返答で奥様達の相手してるし。 なにさ! 「あ、そろそろ場所取りに行こうか?」 相良さんが奥さんに言うとあっさり『そうね』と加藤様談義を終らせた。 「加藤さんも一緒に行きません?」 蜂谷さんがちゃっかり加藤さんの腕を取って歩き出す。 ちょっと待ってよ!あなたには旦那さんが居るんでしょ!そう思ったのが顔に出てたのか 「シングルマザーでーす」と何故か嬉しそうな蜂谷さん。 加藤様も少しは嫌がる素振りをしてくれてもいいのに!なにさ!もう知らない! 目の前を歩く二人の後ろからトボトボと歩く私。 早くも場所取りをしている他の家族と一緒にビデオをセッティングしよとすると加藤様が『貸して』とやってくれた。 11時になって子供たちのフラッグダンスのパレードが始まった。 いやーーん。可愛い! 一生懸命に踊る姿や笑顔に癒される。 加藤様との子供なら絶対可愛い子が生まれるだろうなぁ・・・ って、やだ!二人の子供だって! 加藤様を見ると見たことがない柔らかい表情を浮かべていた。 知らなかった。こんな顔もできるんだ。 やっぱりその顔が自分に向けられてない事に嫉妬する。 子供だな、私。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!