第1章

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パレードが終わって一香ちゃんを迎えに行くと加藤様が『上手だったね』と褒めると嬉しそうな顔をした。 本来、園内持ち込みは駄目だが、この控室内で食べるという事で園児たちは持参したお弁当を食べ始めた。 皆この後遊園地で遊ぶのが待ちきれないみたいで急いでお弁当を食べていた。 一香ちゃんもその一人みたい。 「それじゃあ、今日はこれで解散でーーす」 先生の掛け声でみんなが自分たちの親元に駆け寄り、おもいおもいの場所に散って行った。 「一香ちゃんは何に乗りたい?」 「パンダさん」 「パンダさん?」 「キッズパークの中にあるパンダの列車だよね?うちの悠馬も乗りたいって言ってるから一緒に行こうか?」 蜂谷さんの提案。 一香ちゃんが乗りたいものに行くのが一番だけどでも一緒には行動したくないけれど加藤様は気にする様子もなく一緒に歩き出した。 蜂谷さんと加藤様が隣同士になって歩く。 その少し前を悠馬君と一香ちゃんが走ってる。 どうみてもこの四人が家族みたいじゃない。 やっぱり後ろからトボトボと歩く私。なんだかみじめ。 キッズパークに到着するとパンダ列車は人気なのか子供たちが沢山並んでいた。 悠馬君と一香ちゃんもその列に並んでとっても楽しそう。 少し前の蜂谷さんと加藤様もなんだか話が弾んでるみたい。 面白くない・・・からアイスでも食べよう。 確か近くに売ってあったような。 キョロキョロとあたりを見回して少し先にお店を見つける。 一香ちゃんたちも食べるだろうし。 そう思ってそちらの方向に歩き出す。 アイスを三つ買って元来た道を戻る。 まだ楽しそうな二人を横目に並んでる一香ちゃんたちの所に行ってアイスを渡す。 3人でアイスを食べていると、一香ちゃんの手がベタベタになってるのに気が付いてウエットティッシュで手を拭う。 「ありがとう」と笑顔を見せる一香ちゃんが可愛くてこっちまで笑顔になる。 「パンダ列車一緒に乗っていい?」 そう尋ねると『いーよー』と二人からオーケーを貰った。 順番が来てパンダ列車に乗り込む。 悠馬くんが蜂谷さんに手を振る。 「一香ちゃんもあのお兄ちゃんに手振ってごらん?」 ちょっと寂しそうな顔をしていた一香ちゃんにそう言うとおずおずと手を出して手を振る。 加藤様はそれに気づいてちゃんと手を振りかえしてくれた。
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