第1章

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バッグの中のスマホがなってることに気が付く。 「もしもし?」 『あ、美湖ちゃん?一雄だけど。一香どうしてる?』 「パレードはすっごく上手だったよ。 今はお友達と一緒にパンダ列車に乗ってる。それより絹ちゃんどう?」 『さっき生まれたよ。ごめんね。デートの邪魔したって聞いて』 「ううん。大丈夫。それよりおめでとう。 あ、一香ちゃんに変わろうか?」 一香ちゃんが私を見るからスマホを渡すと『もしもしパパ?』と喋りだした。 「うん。うん。一香頑張ったよ。 うん。じゃあね」 はい。とスマホを私に返した一香ちゃん。 「もしもし?」 『美湖ちゃん?お願いついでに一香を病院まで連れてきて貰えないかな?』 「全然いいですよ。 あ、でも一香ちゃんまだ遊びたいんじゃないんですか?」 『でもそれじゃ美湖ちゃんが』 「大丈夫ですよ。一香ちゃんともう少し遊んでから赤ちゃん見に行きますね」 『ごめんね。ありがとう』 「まだ遊んでていい?」 すぐに連れて行かれると思ったのか不安そうな一香ちゃん。 「ん。まだ大丈夫。次は何に乗ろうか?あ、その前にほらもう一回手振って」 笑顔で手を振る二人。 蜂谷さんと加藤様の距離がえらく近くなってる。 パンダ列車を降りて一香ちゃんに次はどこに行こうか?と相談していると蜂谷さんと加藤様がやって来た。 「悠馬次どれに乗る?」 「一香ちゃんどこ行く?」 やっぱりそうなるよね。一緒に回っちゃうよね。 ここで離れたかったのに。 「テントウムシがいい」 そういうと一香ちゃんは悠馬君の手を取って走り出した。 「待って!一香ちゃん」 慌てて後を追う。 テントウムシ? そう思ってるとテントウムシコースターという看板が見えた。 小さなジェットコースターみたいだ。 二人の後に着いて私も一緒に乗り込む。 緩やかなカーブ。と緩やかな下降。 それでも小さな二人には楽しいらしく『キャーキャー』と悲鳴を上げる。 そんな二人を見てるのか見てないのか別の意味で楽しそうにしてる蜂谷さんと加藤様。 「楽しかったね」 一香ちゃんが私にそう言うから『そうだね、楽しかったね』と返事する。 「悠馬君のママとお兄ちゃん仲良しだね」 そんな何気ない一言が私の胸に突き刺さる。 あんな笑顔私には見せないくせに。 「そうみたいだね。一香ちゃん次は?」
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