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「ッ……ぐぅ!痛い……!」
錆びた鉄のような臭いと身体中に走る痛みに目が覚める。仰向けになったまま、まず目に入ったのは赤色の地面と腕。掌に対して親指が右側にあるから右手だろう多分ぶつかった相手の腕で地面の赤色は鼻血かなにかだろう。
そこまで考えた時に見えてしまった。
その腕に付けられたミサンガを……
あれは陸上部のマネージャーが部員一人一人に手作りして渡したミサンガだ。一人一人色の組み合わせが違う、完全オンリーワンのそれを貰ったときは思わず友達とはしゃいだのを覚えている。
「…なん…で?……あれ?俺のミサン…ガ?」
半分は赤く染まってしまっているが黄色に緑と白のミサンガは確かに俺が貰ったものだ。
それが何故目の前に?おかしいじゃないか!俺は仰向けに転がってるんだ!なのに自分の右掌が見えるなんて……
俺の視線は自然と右側に移る。
そこにあるはずの右腕は……無かった。
「え……?あッ!?アアアァァ!?」
認識するよりも早く右腕があったはずの所が燃えるように痛みが走る。いや、腕だけじゃなく両足や背中に腹部と無事な所は一つもない。実は体ごと燃やされているのではと錯覚するような痛みに獣のような声が喉からあふれでる。
しかし、それも長くは続かない。次第に声を出す力もなくなってきて、喉からはヒューヒューと空気が漏れる音がでるだけだ。
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