いつか訪れる幸せのために

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仕事帰りにスマホをチェックすると、珍しく母親からの着信があり眉を寄せる。 何かあったのかと不安な気持ちを抑え、とりあえず自宅に戻り、遅い時間だが母親に電話をかけ直してみる。 「――もしもし?直人(ナオト)?」 「あぁ、何?どうした?何かあった?」 「あのね……」 母親から告げられた話は、ある意味驚きではあったが、心配した俺の気持ちを返せと言いたくもなる内容だった。 お見合い。 30半ばを越える俺に彼女の1人でもいないのかと心配になった母親が、知人のお嬢さんとやらとお見合いを仕組んだらしい。 「俺行かないよ?」 「えっ!それは困るわよー……だってそのお嬢さんは明日わざわざ仕事をお休みしたらしいんだから」 「……ちょっと待てよ……明日!?」 善は急げって言うでしょ、と弾んだ声を出す母親に、がっくりと肩を落とすしかなかった。
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