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「渚・・直接、触って・・・。」
もうこれ以上焦らされたら無理!
ちぎるようにスーツのボタンを外すと、渚はにこーと少年のように微笑んだ。
「おしまーい。」
「え?!え!?渚!?」
なに?これ!
絵梨花は上機嫌に居間へ向かった渚に取り残され、呆然としてしまった。
「ただいまー・・なに、してんの?」
そんな所にもう1人の恋人が帰ってきた。
壁にもたれ、乱れたスーツ、擦れた口紅と濡れた口元を見れば、何が合ったかはすぐ察しがつく。
「良いところだったのよ。」
「ちょ、ちょっと!」
こいつを気にしてる場合じゃない!
急いで居間へいけば、水を飲もうとする渚がいた。
水を飲めば酔いが覚めてしまう。
「待って!渚。」
グラスを奪えば、へらっと渚は力の抜けた笑顔を浮かべた。
「絵梨花が飲ましてくれるの?」
「後で、ね。続きしよ?」
「いいよー。絵梨花が先?」
「ちょっと、これどう言う事?渚酔ってるの?」
こんなチャンス滅多にないんだから!
伊織を無視して渚を寝室に連れて行こうとすれば、危険を察したのか道を塞ぎ、伊織が口移しで水を渚に飲ませた。
「ちょっと!邪魔しないでよ!」
「うるさいわね!酔った勢いでなんかさせないわ!」
酔った勢いでなきゃ、あんな積極的にこないのに!
まだ間に合うかと思い、渚の名前を呼んだが、彼女の酔いはわりと覚めるのも早い。
水を飲み、意識がはっきりし、自制心を取り戻してしまった。
「あ・・絵梨花、私・・・。」
いつものシャイな渚に戻ってしまったのだ。
それも可愛いんだけど!!
絵梨花はぎろっと伊織をにらみつけながら、渚の腕に絡み付いた。
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