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「あ、絵梨花。」
「偶然ねー、渚。私に逢いにきてくれたの?」
何故か仕事姿の絵梨花だった。
ぐいぐいと体を寄せ、甘えてくる。
「誰?」
「あ、えーと、大事な、人。」
恋人と率直には言えなかったが、友達とも言いたくなく、出た言葉だった。
が、それも無用だったようだ。
「私のだから。手を出さないでね。」
ストレートに絵梨花が伝えてしまった。
そして立ちすくむ彼女を置いて角まで連れて行かれた。
「渚、あれは浮気?」
打って変わって睨むように顔を近付ける絵梨花。
「どこが!それにあの人は多分寂しかったんだよ。恋愛どうのってわけじゃないよ。」
「へー。それで胸を触らせるかしら?」
「・・・確かに。その前に部屋にも誘われた。」
「結構本気じゃない。」
「え?あれ、本気だったの?あ、でも、そうか。そうなるのか?え?でも私に??」
プチパニックとは、この事だった。
確かに距離を詰めてくる人だなとは思ったが、そんな感情を持ち合わせてるとはまったく思わなかった。
「断ってたからね?私!」
「あのままなら、お持ち帰りされてたっぽいけどー?」
「ないよ。絵梨花と伊織のこと、好きなのに。」
「ほんとに?3人目の恋人欲しいとか言わない?」
「絶対言わない。」
3人目とか、ない!
考えただけで恐ろしい。
身震いしながら否定すれば、絵梨花は満足げに微笑みギュッとハグをしてきた。
「あれ?そう言えば渚仕事は?」
「あぁ、それそれ。今朝ね倒産してたの。」
「はぁ?!」
驚くよね、私も驚いたし。
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