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仕事中の絵梨花を長く引き止める事が気が引け、帰ったらまた話すと約束しわかれた。
「真っ直ぐ帰るのよ。」
「分かってるよ。」
子供じゃないんだから。
そんな態度が出てたからか、絵梨花に再び腕を掴まれ耳元で囁かれた。
「帰ったら、たっぷり教えてあげるわ。どれだけ渚の事好きか。」
その艶やかで熱っぽい台詞に、ぼんっと一気に体温が上がり耳まで赤くなるのが分かった。
「やだ、今すぐ襲いたくなっちゃう。」
「だめ!さっさと仕事行って、ほら!」
背中を押してさっきの通りまで絵梨花を連れて行き、小走りで家の方向へ帰った。
「絵梨花は無駄にフェロモン出し過ぎなんだよね。」
頬に手を当て熱を冷ましながら愚痴をはいてみた。
お風呂だって最近勝手に入ってくるし、ご飯も餌付けみたいにするし、寝るとき必ずしたそうにキスしてくるし
伊織も絵梨花ほど日頃は態度には出してこないけど、休みの2人っきりになると激しいもんな
「・・・・駄目だ、非日常があまりにナチュラル過ぎて、感覚が麻痺してる。」
渚は回想を終え、マンション前の壁に手をついた。
キスもしたことがなかった26年、突然2人の恋人が出来、一線を越えてさらに愛され、動揺しなくなってきてる自分に気付いたのだ。
「どうしよう、これで働いてなきゃヒモじゃないか、私。」
稼ぎのいい2人。家事もちゃんと分担してくれる。
申し分ない、いやむしろ勿体ないくらいの恋人達。
さすがに働かないともなると、2人とも怒るかな。呆れるかな。
急いで見つけなきゃ!
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