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「つけててくれたんだ」
主任は私の手を指さす。
私はコクっと頷く。
「俺、いい経験してきた。色々な事得られたよ」
再び私は一回頷く。
「あの時、明が背中押してくれたから、行くことができた。ありがとう…」
私はもう頷くことすらできない。
嗚咽が漏れ始め、洪水のように涙が溢れて止まらない。
「待っててくれた?」
その声と共に主任は、革靴の音を響かせながら私の元へ近づいてくる。
主任は私の前に来て、視線を合わせるようにしゃがみ込む。
そして、丁寧に涙を拭ってくれた。
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