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  貴子が顔を背け、涙をそのままに目を閉じた時、 ロックされていなかった助手席のドアが 突然、ガンッと乱暴に開く。 そして、 貴子に覆い被さっていた藤谷が ガッと引き剥がされ、ドンッと突き飛ばされる。 貴子はその人の登場に息も付けなくなるほど驚いて・・・ 蝋人形のような艶やかな肌、 絹糸のような柔らかで、輝く栗毛の髪、 優美なほど美しい肢体。 一目見た者は天女と見間違える。 でも、その華奢に見える身体は彼が力を入れた瞬間 鋼のように固い筋肉の塊に代わる。 その逞しさは男、そのもの・・・
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